2月3日の節分には家族で豆まきをしようかな~と考えているご家庭も多いかと思います。
でも、豆まきといったら「鬼は外~! 福は内~!」と言いながら豆をまくだけなのでしょうか?
豆をまくのは昼間でも夜でもいいの?
節分をちゃんとやろうとしたら、そのあたり、気になりますね。
ここでは、節分の豆まきをする時間帯や、正しいやり方について紹介します!
節分の豆まきをする時間帯って決まってるの?
豆まきをするのは「鬼は外~!」という掛け声からもわかるように、鬼を追い払うためですよね。
鬼って夜に来そうな感じがしますから、なんとなく夜の時間帯に豆まきをしたほうが良さそうな感じがしますけど、正式なやり方だとどうなのでしょうね?
広辞苑で節分について調べてみると、
『節分の夕暮に、柊(ひいらぎ)の枝に鰯(いわし)の頭を刺したものを戸口に立て、鬼打豆と称して、炒った大豆をまく習慣がある』
と書かれていました。
「夕暮れ」とありますね。
じゃあ、節分の豆まきをするのは夕方なの?
実は、鬼が来る時間帯については、他にもしっかりした話があるんですよ。
陰陽道では、鬼は「鬼門」と呼ばれる方角からやってくるとされています。
鬼門とは、北東の方角です。
万事に忌むべき方角とされていて、現在でも、玄関、便所、お風呂、台所などの水を扱う場所は鬼門に置かないようにしたほうがいいという考えが全国に結構残っています。
鬼門に当たる北東は、昔の言い方に直すと「丑寅(うしとら)」といいます。
北をねずみ年の「子(ね)」と呼んで、そこから時計回りに十二支を当てていく方位の呼び方です。
北が「子(ね)」で、北東が「丑寅(うしとら)」、東が「卯(う)」・・・といった感じに。
鬼に角が生えていて、虎のパンツをはいているのも、この丑寅に理由があるんですよ。
角は牛の角、パンツは虎の皮というわけです。鬼の牙も虎の牙らしいです。
で、この丑寅(北東)の方角が鬼の来る時間帯にどう関わっているのかというと、昔は時間も十二支で表していたからです。
方角の時と同じように、夜0時前後を「子(ね)」として、そこから時計回りに、十二支の動物たちを当てはめていったんですね。
子(ね)が23時~1時、次の丑(うし)が1時~3時、寅(とら)が3時~5時・・・と言った具合に、時間を2時間に区切って呼びます。
これを「十二時辰(じゅうにじしん)」と言います。
※十二辰刻(じゅうにしんこく)、十二刻(じゅうにこく)、十二時(じゅうにじ)などとも呼ばれます。
丑~寅の時間は、真夜中の3時前後の時間帯ということで、鬼が来るのも夜中とされるんです。
やっぱり鬼って夜に来るものだったんですね!
悪さをする怪物が、まっ昼間にノソノソやって来るっていうのも変ですものね。
とはいえ、そんな真夜中の時間帯に豆まきをしないといけないなんてことは、もちろんありません。
夕方から夜にかけて豆をまけばいいとされています。
でも、保育園や幼稚園などでは昼間に豆まきをしますし、節分にはお寺でも昼に力士や有名人が豆をまいていますよね。
絶対に夕方~夜に豆まきをしないといけないというわけではありませんが、正式な作法を気にするなら、夜のほうがいいという解釈でいいと思います。
特に、節分の2月3日が平日だったら、パパやママが仕事を終えて帰ってきてから、家族そろって豆まきをしたほうが楽しいでしょうし。
2019年の節分は日曜日ですから、昼間でも家族がそろっているかもしれませんけどね。
昼間はみんなで恵方巻きを食べたりして、豆まきは夜になるまで待ちましょうか。
節分の豆まきのやり方は? まく場所や方角などに決まりはあるの?
いつやるかに関しては、豆まきは夕方~夜にかけてやるとして、他にやり方に決まりはあるのでしょうか?
どこにどうまくか、場所とか方角とか・・・。
家の中ではどうなのかとか、外へはどうなのかとかも、いろいろと作法が気になります。
節分の豆まきをする場所は?
まず、家の中の窓と玄関の扉を開けておきます。
家の奥にある部屋から豆をまき始めましょう。
開けている窓の外へ鬼を追い出すつもりで、まずは窓の外に向かって「鬼は外ー!」と2回豆をまきます。
外へ豆をまき終わったら、鬼が入ってこないように、その部屋の窓はすぐに締めましょう。
窓を締めたら、「福は内ー!」と言いながら、部屋の中に2回豆をまきます。
奥の部屋からだんだんと玄関の方へ近づくように場所を変えながら、順番に同じことを繰り返します。
最後に、玄関でも同様に豆をまけば完了です!
(※マンションでは、窓の外へ豆をまかないようにしましょう。下にいる人に当たったり、物を傷つけてしまってはいけませんからね。それに、道路上など外に豆を散らかしっぱなしにしてしまうでしょうし)
節分の豆まきに方角って関係あるの?
家の中の豆まきをする時に、「どの部屋から始めればいいんだろう?」と気になるなら、まずは北東の方角にある部屋から豆をまきましょう。
北東というのは、そうです、鬼がやって来る方角である「鬼門」ですよね。
その次に、北東とは逆の南西の方角にある部屋で豆をまきます。
南西は「裏鬼門」と呼ばれ、北東から南西にかけての道は、鬼が通るとされているからです。
豆まきをする時に方角まで気にする人はそんなにいないかもしれませんけど、方位が気になるならこんなやり方もあるんだよということで、参考にしてください。
ここで紹介した豆まきの作法は、あくまで一般的なやり方です。
豆を屋内だけにまくとか、外にだけまくとか、地域によって豆まきの仕方には違いがありますし、まき方だけではなく、掛け声も異なっていたりするようですね。
唯一絶対の正しいやり方が1つだけ存在するというわけではありませんから、あなたのお住いの地域や、ご実家でやってきた豆まきの仕方がこれとは違っていても、おかしいんじゃないかと気にする必要はありませんからね。
節分の豆まきの掛け声にはこんなものも
一般的には、「鬼は外、福は内」という節分の掛け声ですが、地域などによって違いがあるというのは先ほど紹介したとおりです。
どんな掛け声があるのかといいますと・・・
・「福は内」を先に言う
・「鬼は内、福も内」
鬼にも良い縁起があるとして、こういう掛け声で豆まきをする地域もあるそうですよ。
例えば、群馬県藤岡市鬼石地区では、鬼が投げた石で町ができたという伝説があって、鬼も歓迎だそうです。
・「鬼は内」
伝統的な商家では「鬼=大きな荷、大荷」ととらえて、大荷が内に入らないと商売が繁盛しないとして、「鬼は内」と言ってきたそうです。
・渡辺さんは「鬼は外」を言わない!?
平安時代に渡辺綱(わたなべ の つな)が鬼退治をしたので、渡辺一族には鬼も近づかなくなったということで、渡辺綱の子孫は「鬼は外」を言う必要がないのだとか。
・名字に「鬼」が付く人も「鬼は外」を言わない!?
鬼頭さん、鬼沢さん、九鬼さんなどは、鬼を追い出すのは縁起が悪いということで、「鬼は外」以外の掛け声にしていたりするそうですよ。
・「福は内、鬼も内」
奈良県の金剛峯寺蔵王道での掛け声で、追い払われてきた鬼を改心させるためだそうです。
・「福は内、鬼は内、悪魔外」
金棒を持った鬼を奉納している埼玉県比企郡嵐山町の鬼鎮神社では、こういう掛け声だそうです。
・「福は内」のみ
愛知県名古屋市の大須観音では、伊勢神宮の神様から授けられた鬼の面を寺の宝としているため、鬼は外は言わないそうです。
また、千葉県成田市の成田山新勝寺でも、ご本尊の不動明王の前では鬼も改心するとして、鬼は外とは言いません。
節分の豆まきは誰がやるべき?
節分の豆って、家族みんなでまいてもいいものなのでしょうか?
それとも、「一家のこの人がまくべき!」って決まっていたりするのでしょうか?
本来は、一家の主、あるいは、跡取りの息子が豆をまく役を担っていたそうです。
節分の前の日に、豆を枡に入れて神棚にお供えしておき、「家が益々栄えるように」と願いをかけたそうですよ。
「益々」と「枡」をかけているんですね。
でも今では、一家の長である父親が・・・などとは気にせずに、家族で豆まきを楽しんでいる家庭が多いですね。
誰が豆をまくべきかというのは、そんなに気にしなくてもいいと思います。
なぜかというと、祓い清め役というのは、汚れや厄災に関わる卑しい役目だと思われていたからです。
「看聞御記(かんもんにっき)」という、伏見宮貞成親王(1372~1456年)の日記にも、豆まき役を嫌がる若い公家のことが書かれています。
では誰が豆まき役を引き受けていたのかというと、厄年の男性が自身の厄払いを兼ねてやっていたそうですよ。
今では、お寺の豆まきを力士や有名人がやっていますから、昔とは価値観がガラリと変わっているんですね。
まとめ
節分の豆まきは、鬼が来る時間帯である夜にやるのがベストです。
夕方から夜にかけての時間ですね。
やり方は、窓や玄関のドアを開けて、「鬼は外」と言いながら豆を2回外にまき、窓を締めて、「福は内」と言いながら部屋に豆を2回まきます。
これを奥の部屋から順に繰り返していって、最後に玄関で豆まきをして完全に家の中から鬼を追い出したら完了です。
豆をまく方角が気になるなら、鬼が来る方角である北東(鬼門)の方にある部屋から始めて、次に南西(裏鬼門)の部屋で豆まきをするといいですよ。
元々は、一家の主か跡取りの息子が豆をまく役をやっていましたが、今では、誰が豆をまくかまで気にする必要もないと思います。
家族で節分を楽しんでくださいね。