節分の食べ物と言ったら、歳の数だけ食べる豆ですよね。
それ以外にも、最近では、恵方の方角を向きながら丸かぶりする恵方巻きというのも全国的に知られて広まりつつあります。
(恵方巻きって、スーパーやコンビニが一儲けしようと目論んで、無理やり全国に広めようとしている陰謀だと言う人もいますけど、献立を考えないでいいから楽なんですよね!)
でも、節分に食べるものって煎り大豆や恵方巻きだけなのでしょうか?
今夜の夕飯は恵方巻きにしよう! でも、それ以外のおかずは何にしたらいいんだろう? などとお悩みなら、節分にちなんだ行事食を献立に加えてみてはいかがでしょうか。
節分の食べ物とその由来は?
節分の食べ物って、実は豆や恵方巻きだけではないんですよ。
意外といろいろありますので、食べてみたいものがあったら、節分の日のメニューに加えてみてはいかがでしょうか。
まずは、皆さんご存知の食べ物から。
紹介する必要もないでしょうが、その由来を見てみましょう。
福豆
豆まきに使ったり、歳の数だけ食べたりする炒り大豆ですね。
炒って邪気を払った豆を歳の数だけ体に入れることで、「次の年も健康でいられますように」という願いを込めるというのが、節分に豆を食べる由来です。
穀霊が宿るとして、大豆は五穀の一つに数えられ、お米に次いで日本の神事で用いられてきました。
(五穀=米、豆、麦、あわ、きび)
炒ることが重要なので、大豆は大豆でも、枝豆などを食べてもダメなんですね。
邪気を払うためだけではなく、厄払いに使った豆から芽が出るのは縁起が悪いと言われているため、節分の豆にはしっかり火をしっかり通す必要があります。
また、豆まきで使う豆は、「豆を炒る」と「魔目を射る(鬼の目を射る)」をかけているというのも、炒り大豆でないといけない理由です。
どうして2月の節分なのに次の年の健康を願うのかというと、昔は立春の一日前である節分は、大晦日と同じ様な年越しの日と考えられていたためです。
ですから、旧暦を使っていた時代には、節分に年越しそばを食べて、12月31日の大晦日にも食べるおそばのことを「晦日そば」と呼んで区別していたそうですよ。
恵方巻き
恵方巻きというのは、恵方と呼ばれる縁起のいい方角を向きながら、願い事をしつつ無言で一本食べきる巻き寿司のことですよね。
関西では、丸かぶり寿司とも呼ばれます。
恵方巻きが節分の食べ物になった由来は、江戸時代末期の大阪船場で行われた商売繁盛の祈願だったのではないかという説がありますが、詳しい起源は分かっていません。
その後、恵方巻きは廃れてしまっていたものの、1970年代に大阪海苔問屋協同組合が道頓堀で再開したことで再び知られるようになり、関西では一般的な節分の風習になりました。
この関西地方限定だった恵方巻きは、90年代~2000年代初頭にかけて全国のスーパーやコンビニで販売されるようになってから、次第に国民的風習になっていったのです。
節分のメニュー 恵方巻き以外ならこちらはいかが?
続いて、豆や恵方巻き以外の節分の食べ物と、その由来を紹介しますね。
いわし
節分にいわしを食べるというのも関西地方に多い風習です。
食べるだけではなく、焼いたいわしの頭を柊(ひいらぎ)の小枝に挿して、戸口などに飾ったりもしますね。
いわしの頭を飾るのは、鬼は焼いたいわしの臭いが嫌いで、柊の葉のトゲも、目を突かれた事があるために苦手だからと言われているためです。
いわしを節分に食べる由来については、諸説あります。
特に傷みやすいことから、弱さや病の象徴とされたいわしを食べてしまうことで、弱さや病を打ち消し、一年の健康を祝ったという説。
いわしって漢字で、魚偏に弱いで「鰯」と書きますよね。
もう一つは、弱くて臭いいわしを食べることで、身にまとっている陰の気を打ち消す意味がある、という説です。
食べ方については、塩焼きにして食べるのが伝統的ですが、特に決まりはなく、今ではいろんな節分いわし料理のレシピが見つかります。
小さな子供がいるなら、いわしのハンバーグや、いわしの唐揚げ、いわしのつみれなどを節分の行事食にいかがでしょうか。
こんにゃく
こんにゃくは繊維質が豊富なことから、昔から「胃のほうき」「お腹の砂下ろし」と呼ばれてきました。
体内をきれいにするために、12月22日ごろの冬至、あるいは年末の大掃除の後、節分といった、季節の節目の日に食べられてきた食べ物なんですよ。
こんにゃくを行事食として食べる風習は、四国発祥と言われています。
ちなみに、こんにゃくは、平安時代以前には医薬品や間食用として貴族や僧侶に珍重されていた食材だったそうです。
けんちん汁
見た目は豚汁と似ていますが、けんちん汁は豚肉と味噌を使っていません。
けんちん汁の由来は、神奈川県鎌倉にある建長寺の修行僧が作った「建長寺汁」とも言われています。
精進料理に使おうとした豆腐を誤って崩してしまい、それを無駄にしないように、普通なら捨ててしまうような野菜の皮などと一緒に汁に入れたのが発祥という説です。
けんちん汁は、旧暦10月(新暦の10月下旬~12月上旬)に恵比寿様をまつるえびす講、2月になって最初の午(うま)の日に行われる稲荷神社の祭りである初午(はつうま)、そして節分に食べられてきた行事食です。
恵方巻きの丸かぶりをした後は飲み物が欲しくなるでしょうし、節分料理のおかずとして、こんにゃく入りの温かいけんちん汁を添えてはいかがでしょうか。
そば
福豆の項目でもちょっと触れましたが、昔は、立春の前日である節分も、大晦日のような年越しの日と考えられていました。
だから、節分に年越しそばを食べ、年末の大晦日にも「晦日そば」と呼んだお蕎麦を食べていたんですね。
今でも、そばの産地として有名な島根県や長野県では、節分におそばを食べる習慣が残っているそうです。
それ以外の地域でも、蕎麦業界やスーパーが「節分そば」などと銘打って、お蕎麦の販売をしている所があるようですね。
恵方巻きと蕎麦を両方食べるというのは多すぎかもしれませんが、恵方巻きは食べないという人は、代わりにおそばにしてみてはいかがでしょうか。
あるいは、恵方巻きは夜に家族みんなで食べるのだったら、外での昼食はお蕎麦にするというのもいいですね。
くじら
節分にくじらを食べるのは山陰地方(鳥取、島根、山口北部あたり)の風習で、「大きなものを食べることで邪気を払えて縁起がいい」と考えられたことが由来です。
古くから捕鯨の盛んだった山口県などでは、節分だけではなく年末年始にも、スーパーに鯨肉がたくさん並ぶそうですよ。
とはいえ、さすがにくじらは、現在では多くの日本人にとって手軽に食べられる食材ではないですよね。
鯨肉ってどんな味?
子供の頃に給食で鯨肉を食べていた人の話によると、鯨の竜田揚げはボソボソしていて美味しくなかったといった思い出話が多いですね。
とはいえ、学校給食ではそんなにいい物は食べられないでしょう。
給食だったからまずかったのかも?
口コミを探ってみると、鯨肉の味についてこんな感想もありました。
・血の味が強い筋張った牛肉のような味。
・独特の臭みがあり、焼いた鯨肉はすごく固い牛肉のよう。
・馬刺しに近い味。
・鹿肉の味に似ている。
・血の味の濃い豚のもも肉のよう。
・鯨の竜田揚げは、マグロの血合いの竜田揚げの味に似ている。
人によって味の感想は全く違っていて、くじらは美味しいのかまずいのか、よくわかりませんね。
味が気になる人は、この機会に鯨肉を入手して食べてみてはいかがでしょうか。
ネット通販で購入できる所もあるようです。
福茶
福豆(節分の炒り豆)、梅干し、昆布を入れて煎じたお茶です。節分の食べ物というか、飲み物ですね。
作り方は簡単。
湯呑に豆、昆布、梅干しを入れ、そこに熱いお茶を注ぐだけ。
福茶を節分に飲むようになったのは、平安時代中期の僧、空也上人(903~972)の逸話に由来します。
(いらすとやって、空也上人の絵まであるんですね。笑)
960年頃の村上天皇の時代、都で疫病が流行しました。
空也上人は『観音様にお供えしたお茶を飲ませると良い』という夢のお告げを聞き、これを試したところ、人々の病はたちどころに治ったそうです。
村上天皇はこれを大いに喜び、このお茶を「皇服茶」と呼んで、万病を払う毎年の習わしとしたのが、そもそもの起源です。
その後、皇服の「服」が「福」に通じるということから、福茶と呼ばれるようになりました。
室町時代に、当時のお茶受けだった、大豆、結び昆布、梅干しを入れて飲むようになり、今の形になったそうです。
豆には「まめに働く」、昆布には「喜ぶ」、梅干しには「年を重ねる」という意味と願いが込められています。
以上、節分の食べ物として、豆、恵方巻き、いわし、こんにゃく、けんちん汁、そば、くじら、福茶を紹介しました。
恵方巻きは関西発祥、けんちん汁は関東発祥など、節分に食べるものには地域によって違いがありますが、豆だけ、恵方巻きだけというのもちょっと・・・と感じたら、気になった行事食を献立に加えてみてはいかがでしょうか。
私としては、主食の恵方巻きにプラスして、副菜としてこんにゃく入りのけんちん汁、主菜としていわしの料理がオススメです。
食べきれずに豆が余ったら、福茶にしていただくのもいいですね。
恵方巻きと太巻きの違いって何?
全国に広まりつつある節分の恵方巻きですが、恵方巻きと普通の太巻き寿司の違いって何なのでしょうか?
単に、節分に販売される巻き寿司を恵方巻きと呼んでいるだけなのでしょうか?
見た目は似ていますが、恵方巻きの場合、具材に節分ならではのこだわりがあるものが多いです。
恵方巻きには、七福神にちなんで、7種類の具材が使われていることが多いんです。
その7つの具材は何なのかというと、「これでないといけない」という決まりは特にありません。
しかし、定番の具材というものはあって、次の物がよく恵方巻きに使われています。
・うなぎ
・きゅうり
・かんぴょう
・椎茸煮
・高野豆腐
・桜でんぶ
具材はこれでないといけないということはありませんから、お店の恵方巻きがこれとは違う具材を使っていても、安心してお好きな物をお選びください。
具材が7種類ではなく、うなぎだけなど、1種類だったりする恵方巻きもありますね。
つまり、恵方巻きと太巻きには、はっきりとした違いはありません。
節分に、切らないまま恵方を向いて丸ごと1本食べる太巻きが恵方巻きということです。
ちなみに、関東では巻き寿司のことを太さに応じて、太巻き、中巻き、細巻きと区別して呼びますが、恵方巻き発祥の地である関西では、巻き寿司と言ったら太巻きのことです。
恵方巻きというと太巻きの物が多いですけど、お店によっては中巻きや細巻きの恵方巻きも売っています。
太さに関しても、恵方巻きは太巻きでないといけないということはないんですね。
小さい子供には、細めの恵方巻きのほうがいいでしょう。
これもう恵方巻きじゃない
草生える pic.twitter.com/uLx7nBpZO1— けいぴー@鹿児島四池 (@ata_keisuke) 2018年2月3日
中にはこんな規格外の恵方巻きも(笑)
恵方巻きと手巻き寿司の違いは?
恵方巻きなどの巻き寿司は巻き簾を使って作りますが、手巻き寿司はその名の通り、巻き簾などを使わずに手で巻きます。
節分スイーツもコンビニで販売されます
恵方巻きはコンビニでも販売されますが、セブンイレブン、ローソン、ファミマなどのコンビニでは、恵方巻きだけではなく、節分スイーツも売り出されますよ。
本日のスイーツ〜
ローソンで購入です。
金棒エクレアです!見た目が鬼が持っている金棒そっくりに出来ています。子供が大好きですよね!
味もカスタードとチョコクリームの2種類が入っていて美味しかったです! pic.twitter.com/iymzUsuOfG— nan (@GGGGG31) 2018年1月30日
節分スイーツ👹🍰🍩🍴✨#FamilyMart #チョコナッツエクレア pic.twitter.com/URVtSMZihq
— Yu-A glitter♥life (@foxyglitter) 2018年1月31日
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節分苺のロールケーキ。恵方巻きじゃなくてロールケーキだと!?鬼が笑顔でいいのか!?・・・いいんだ、美味しいから。しっかり甘いのが痛む喉にはありがたい。 #セブンスイーツアンバサダー
鬼の金棒をイメージしたエクレアや、恵方巻きをイメージした太巻き風ロールケーキ(恵方巻きロール)、鬼をイメージした食べやすいサイズのロールケーキなどがあります。
節分料理のデザートや、節分の日のおやつにもよさそうですね。
まとめ
節分の食べ物には、豆や恵方巻き以外にも、いわし、こんにゃく、けんちん汁、そば、くじら、福茶があり、それぞれ節分にちなんだ由来があります。
恵方巻きのおかずも節分の行事食にしたいなら、こんにゃく入りのけんちん汁と、イワシ料理なんかいかがでしょうか。