道端や広場などで、小さくて可愛い花を咲かせるたんぽぽ。
あのユニークな綿毛も存在感抜群で、雑草扱いもされる植物でありながら、好きな野花の一つだったりします。
そんなタンポポには、どんな花言葉があるのでしょうか。
ヨーロッパで行われてきた、あの綿毛を使った恋占いの方法や、たんぽぽの豆知識などと一緒に紹介しますね。
たんぽぽの花言葉は4つあります
たんぽぽには、次の4つの花言葉があります。
・思わせぶり
・神託
・愛の神託
神託というのは、神のお告げという意味です。
たんぽぽは、古くからヨーロッパで占いに使われてきたことが、こうした花言葉の由来となっています。
(たんぽぽを使った恋占いの方法を後ほど紹介しますね!)
たんぽぽでも白い花を咲かせる物には別の花言葉がある!
たんぽぽというと、黄色い花というイメージですが、白い花を咲かせるものもあります。
そちらには、違った花言葉があるんですよ。
白いたんぽぽの花言葉は
「私を探して、そして見つめて」
黄色いたんぽぽに比べて影の薄い白いたんぽぽに、よく似合う花言葉です。
白いたんぽぽはシロバナタンポポといい、関東地方以西の本州から沖縄にかけて自生していて、特に中国、四国、九州地方に多いようです。
私は関東に住んでいますが、白いたんぽぽを見たことは、これまでの人生で一度もないですね。
(見かけても、白いたんぽぽだとは気づかなかっただけかもしれませんが)
あまり自生していない地域では、白いたんぽぽは四つ葉のクローバー並みにレアですが、特に珍しい植物というわけではないそうです。
タンポポ豆知識 たんぽぽは夜閉じる? あの花びらは実は花びらではない!?
野原だけではなく、アスファルトの割れ目などでも可憐な花を咲かせるたんぽぽ。
実は、たんぽぽって、一日中咲きっぱなしというわけではないんですよ。
たんぽぽの花は、朝開いて、夜が近づく夕方になると閉じるんです。
たんぽぽの、この習性には日照が大きく関係しているようで、薄暗い曇りの日や雨の日にも、たんぽぽの花は閉じていることが多いようです。
品種による違いや、同じ品種でも個体差はありますが、たんぽぽの花は、朝に開いて夜に閉じるということを3日前後繰り返し、その後、花がしぼんで、その茎は倒れます。
それから、もう一度立ち上がり、花を咲かせていたときよりも高い位置で種(綿毛)をつけるのです。
身近に咲くたんぽぽは、花を開いているか閉じているか、時間や天気との関係を考えつつ観察してみるのも面白いのではないでしょうか。
ちなみに、たんぽぽの花びらのように見えるものは、実は、あの一枚一枚が花なんですよ。
花びらのように見えるものを顕微鏡で見てみると、その中に雄しべと雌しべがあるんです。
これは驚きですね!
たんぽぽの綿毛を使った恋占いのやり方
ヨーロッパで行われてきた、たんぽぽの綿毛を使った恋占いの方法は、とても簡単です。
「好き、嫌い、好き・・・」と唱えながら、たんぽぽの綿毛を思いっきりフーッと吹き飛ばすだけ。
・少し綿毛が残ったら、相手の心はあなたから離れてしまうかも。
・たくさん綿毛が残ってしまったら、残念ながら、相手はあなたに無関心です。
愛情というより、やる人の肺活量次第といった感じですね。
たんぽぽの綿毛を見かけたら、この占いにこっそりチャレンジしてみるのも楽しそうです。
たんぽぽの綿毛が入ったら耳が聞こえなくなる?
たんぽぽの綿毛が耳に入ったら耳が聞こえなくなるって、子供の頃に聞きませんでした?
この噂については、耳鼻科医も、根拠のない話だと言っている人が多いようですが、真相はどうなのでしょうか?
この噂の出どころについては、こんな説もあります。
子供は、たんぽぽの綿毛を見ると、フーッとやりたがりますよね。
そうすると、そこら中が綿毛で汚れるので、やらせないようにするために、「綿毛が耳に入ると耳が聞こえなくなるよ」と言って大人が脅かしたのがきっかけだったのではないか、というのです。
根拠のないでまかせ、迷信と思っている人が多いようですが、実際に耳にたんぽぽの種が入って、耳の中で芽が出てしまったという事件があったそうですよ。
2013年に中国で起こった出来事で、耳でたんぽぽの芽が出てしまったのは、1歳4ヶ月の女の子。
お母さんが、幼い娘の耳に何か異物があるのを見つけましたが、取ろうとしてもうまくいかず、そのままの状態が続いたところ、2日間ほどひっきりなしに泣きわめくようになってしまったそうです。
病院で診てもらうと、その異物はたんぽぽの種。
しかも、その種は発芽して2センチほどに成長おり、耳の中で炎症が起こって出血もしている状態。
普通に引っ張り出すこともできず、この種は、全身麻酔手術で取り出されました。
もし放って置いたら、成長したタンポポが、鼓膜だけではなく、脳にまで達してしまう恐れもあったといいます。
耳の中は適度に温かく、湿り気もあって、栄養になる分泌物もあります。
種は条件さえそろえばどこででも発芽しますから、もし耳に植物の種が入ったら、芽を出す可能性はあるそうです。
この女の子の耳にどうしてたんぽぽの種が入ったのかは不明らしいですが、たんぽぽの綿毛が耳に入っても大丈夫、というわけではないんですね。
とはいえ、普通に顔の近くに飛んできた綿毛が、自然にスルリと耳に入るということは、まず起こりそうになさそうですから、綿毛占いをするのは大丈夫だと思いますよ。
たんぽぽの花言葉は綿毛にもある
黄色いタンポポの花とは別に、あの特徴的な綿毛にも花言葉があるんですよ。
たんぽぽの綿毛の花言葉は
「別離」
花の方には、「愛の神託」とか「真心の愛」とかの素敵な花言葉があるのに、綿毛の花言葉は、怖い……ということはないですけど、なんだか悲しい感じがしますね。
この花言葉は、タンポポの綿毛が風に乗って飛んでいく様が由来になっているとも言われていますが、ある話が由来になったという説もあるんです。
それは、こんなお話です。
南風は、来る日も来る日もその黄色い髪の少女を見つめ続けましたが、実はその少女は、野に咲くたんぽぽだったのです。
そうとは知らず、南風はたんぽぽに恋心を持ち続けます。
時が経ち、たんぽぽの黄色い花は白い綿毛へと変わりましたが、その姿は、南風には白髪の老婆に見えました。
南風が悲しみのあまり深い溜め息をつくと、たんぽぽの綿毛はその風に飛ばされて散っていき、老婆の姿も消えてしまいました。
こちらも、別離という花言葉にピッタリの、ちょっと切ない話ですね。
タンポポ豆知識 たんぽぽのたくましすぎる生態!
たんぽぽの綿毛には「別離」という切ない花言葉がありますが、たんぽぽには、そんなセンチな花言葉とは打って変わったたくましさがあるんですよ。
たんぽぽって、歩道の脇とか広場とか、人に踏まれやすい場所によく生えていますよね。
その理由は、たんぽぽは背が低いため、他の植物が生えている場所だと、影になって光合成ができなくなってしまうからなんです。
そんな不利な場所でも生きていけるように、たんぽぽは、とってもたくましいんです。
なんと、工事現場で使う地面を平らに固める機械で、1トンもの圧力をかけてたんぽぽをペチャンコに潰しても、1週間もすれば、そのたんぽぽは、また花を咲かせるんですよ。
たんぽぽを普通に刈り取って、地面の上には何も残らないようにしても、しばらく経てばまた葉っぱが生え始め、花も咲きます。
たんぽぽの根っこって、70センチを超えたりするくらい長くて、普通の植物とは違い、根に栄養を貯めておくことができるのだそうです。
そのため、根っこさえあれば、たんぽぽは再び花を咲かせることが可能なんです。
たんぽぽの根の一部を切って水につけておけば、そこから根や葉が生え始めます。
「別離」という花言葉を持つたんぽぽの綿毛も、安定して風に乗って遠くまで飛べる構造をしています。
隙間のない傘のような形ではなく、綿毛のように放射状に隙間の空いている形だと、航空力学的にも風がうまい具合に抜けて、より安定して遠くまで飛べるのだそうです。
その綿毛のおかげで、たんぽぽは生息域を広げ、世界中に広まったんですね。
たんぽぽって、その可憐な見た目や別離の花言葉とは裏腹に、別れようとしてもまたすぐに戻ってくるような、しぶとさまで感じる植物です。
あとがき
たんぽぽって春の花っていうイメージですけど、実は、春以外の季節でも咲いている物もあるんですね。
日本の在来種である、カントウタンポポ、カンサイタンポポ、シナノタンポポ、シロバナタンポポなどは、花を咲かせる時期が3月~5月で、それを過ぎると綿毛を飛ばして、地上に出ている部分は枯れてしまいます。
でも、外来種のセイヨウタンポポやアカミタンポポは、花の最盛期は春であるものの、探せば1年中見つかるそうです。
はるばる海の向こうからやってきて広まったとあって、たくましさも半端ではないようです。