温暖化の影響か、夏は連日とても暑い日が続きますね。熱中症の予防のためにも、エアコンの使用はもはや必須といえるでしょう。
そこで気になるのはやはり、エアコンの電気代ではないでしょうか。
ここでは、エアコンの電気代の計算方法を紹介します。
それと合わせ、冷房の設定温度を1度上げることでどのくらいの節電になるのか、冷房とドライでは電気代が安いのはどちらなのかについてもお伝えしていますので、エアコンの電気代節約にお役立て下さい。
エアコンの電気代の計算方法は?
電化製品の消費する電気代というのは、
消費電力(kw)×使用時間(時間)×1kWh当たりの電気料金(円)
という計算方法で算出することができます。
ですが、エアコンというのは、部屋が暑い時にはフルパワーで運転し、部屋が涼しくなったらパワーを下げるというように、部屋の温度によって消費電力が一定していません。
また、エアコンの消費電力は、そのエアコンを使用している部屋の広さや断熱性、その日の天候にも左右されます。
ですから、単純に消費電力からはエアコンの電気代を計算できなというのが難しい所です。
ですが、大体のエアコンの電気代を知る方法はいくつかあります。それをこれから紹介しますね。
まずは、「期間消費電力量」を使った計算方法です。
期間消費電力量というのは、エアコンのカタログなどを見れば書かれていると思いますが、古いエアコンでは書いていない物もあるかもしれません。
この期間消費電力量の意味ですが、これは、そのエアコンを1年間冷房と暖房で使った時にかかる電力量の目安です。
期間消費電力量に電気料金をかけることで、1年間にかかるエアコンの電気代を計算できます。
電気料金というのは、1kwの使用につきかかる電気代のことです。これは契約している電力会社やプランによって違ってきます。
例えば、期間消費電力量が800kw、電気料金が27円だとすると、
800(kw)×27(円)=21600(円)
となり、年間にかかるそのエアコンの電気代は、おおよそ21600円と求められます。
2つ目の計算方法としては、電力メーターを見てみるというやり方があります。
屋外に取り付けられている電力メーターを見て、エアコンを使用する前の電力メーターの数字(kwh)と、エアコンを止めた後の電力メーターの数字(kwh)を記録しておきます。
その差からエアコンが消費した電力を求め、それに電気料金をかければ、エアコンの使用にかかったおおよその電気代を求めることができます。
つまり、
「エアコンを止めた後の電力メーターの数字」-「エアコンを使用する前の電力メーターの数字」×電気料金
という計算方法ですね。
この計算方法では、冷蔵庫など、他の家電製品の消費した電気代も含まれてしまいますが、大体の目安にはなります。
以上の2つの計算方法はちょっと面倒という場合には、最初に挙げた計算式でざっくりした電気代を出してしまってもよいでしょう。
消費電力(kw)×使用時間(時間)×1kWh当たりの電気料金(円)
ですね。
始めに書きましたように、室温によって運転モードの変わるエアコン場合、消費電力は一定ではありませんから、この計算方法で求められる電気代はかなり大まかです。
例えば、消費電力が0.4kw、電気料金が27円のケースで1時間エアコンを使うとすると電気代は、
0.4(kw)×1(時間)×27(円)=10.8(円)
となります。
カタログにエアコンの消費電力が「400w」などと書かれている場合には、1000で割って、「0.4kw」のように単位を合わせて下さいね。
エアコンの電気代は設定温度を上げるとどのくらい節約できるの?
冷房での使用時、エアコンの設定温度を1度上げるごとに、電気代はおよそ10%も安くなるんです。
では、設定温度を1度上げることで、具体的に1ヶ月の電気代がいくら位安くなるのでしょうか。実際に計算してみますね。
消費電力が400wのエアコンを1日6時間使うとして、大まかな電気代を計算してみます。電気料金は27円とします。
0.4(kw)×6(時間)×27(円)=64.8(円)
あくまで大体の数値ですが、64.8円というのが1日にかかる電気代です。これに30をかければ、おおよその1ヶ月の電気代がわかります。
64.8(円)×30(日)=1944(円)
1944円が1ヶ月の電気代と出ました。
それでは、設定温度を1度上げた場合、エアコンにかかる月の電気代はいくら安くなるのでしょうか。
設定温度を1度上げるごとに10%安くなるのですから、194.4円ですね。
設定温度を上げることでどのくらい電気代が安くなるのかは、エアコンの消費電力や使用環境によって変わってきます。
ご自身の状況に合わせて計算してみてください。
エアコンの電気代はドライ運転のほうが余計にかかる?
エアコンの電気代を節約するために、冷房ではなくドライ運転で使っているという方もいらっしゃるかもしれませんが、それはもしかしたら、余計に電気代がかかってしまっているのかもしれませんよ。
ドライと冷房、どちらのほうが電気代が高いのかを知るために、まずはドライ運転の仕組みを見てみましょう。
冷房は電力を多く消費して部屋を涼しくしてくれる一方、ドライは部屋の湿度を下げて快適にするだけだから、それほど電力は消費しない…と私は思っていたんですね。
これが誤解だったんです。
まず、除湿には「再熱除湿」と「弱冷房除湿」という2つの種類があることを知っておかないといけません。
「再熱除湿」というのは、部屋の温度を下げないようにしつつ除湿してくれる機能のことです。
「弱冷房除湿」というのは、部屋の温度をあまり下げないように冷房を弱くした状態で除湿してくれる機能です。
どちらにも、部屋の温度を下げないようにという言葉が出てきてますが、実は、エアコンの除湿機能というのは、部屋の湿度を下げるだけではなく、そのままでは部屋の温度も下げてしまうんですね。
その理由は、除湿の仕組みを理解すればわかります。
除湿運転をするとき、まず、エアコンは部屋の湿った空気を取り込みます。
その湿った空気は、冷やされた熱交換器に触れて温度が下がります。
そうすると、湿った空気の中に含まれる水分が水滴となって出てきます。これは、冷たい飲み物が入ったコップに水滴が付くのと同じ原理です。
冷やされて、含まれる水分が水滴として出てしまった空気は、湿度が下がっているだけではなく冷えていますよね。それをそのまま部屋に戻せば当然、部屋は涼しくなります。
部屋の温度を下げないように、その空気をもう一度温めてから部屋に戻しているのが「再熱除湿」なのです。
「弱冷房除湿」のほうは、冷房のように高出力の運転をしない、送風を控えめにする、設定温度になったら送風を停止する、という方法で部屋の温度が下がり過ぎないようにしています。
除湿をしようとするとその空気は冷える…お気づきでしょうか? つまり、逆に普通の冷房をして部屋の空気を冷やしていても、その空気は除湿されているということになりますよね。
実は、部屋の湿度を最も下げてくれるのは冷房運転だったんです。
冷房は高出力の分、除湿性能も一番高いんです。
冷房は部屋を涼しくするだけ、除湿は部屋の湿度を下げるだけ、というのが誤解だったわけです。
ただ、冷房の場合は、部屋の温度が設定温度に達したらコンプレッサーが停止しますが、室内機のファンは回り続けるので、冷やされて出た水分が蒸発して再び部屋の湿度が上がってしまいます。
冷房はあくまで部屋を冷やすだけで、湿度については関係なく運転しているんですね。
では、再熱除湿、弱冷房除湿、冷房、この3つの電気代の違いはどうなっているのでしょうか?
電気代が高い順に並べるとこうなります。
再熱除湿>冷房>弱冷房除湿
電気代が一番安いのは弱冷房除湿ですね。
再熱除湿は一度冷やした空気をまた温める分、余計に電気代がかかってしまいます。
ですから、冷房よりもドライ運転のほうが節約になると思って再熱除湿をしていると、余計に電気代がかかってしまうんですね。
エアコンの機種によっては、再熱除湿か弱冷房除湿のどちらかしか搭載されていない場合もあります。古い機種では弱冷房除湿だけという物が多いようです。
使用しているエアコンに搭載されているのがどちらなのか分からなければ、取扱説明書を読むか、メーカーに問い合わせるなどして調べて下さい。
分からない場合に自分で調べる方法としては、ドライ運転の時に吹き出し口から出てくる空気が冷たいかどうか、という見分け方があります。
出てくる空気が冷たければ弱冷房除湿。冷たくなければ再熱除湿です。
そこまで強力に部屋を冷やさなくても大丈夫という場合には冷房ではなく弱冷房除湿にしておく、再熱除湿は部屋の温度を下げたくない場合に限定して使用する、という使い分けでエアコンの電気代を上手に節約できそうですね。
まとめ
エアコンの電気代は、
・「期間消費電力量」×電気料金
・「エアコンを止めた後の電力メーターの数字」-「エアコンを使用する前の電力メーターの数字」×電気料金
・消費電力(kw)×使用時間(時間)×1kWh当たりの電気料金(円) という単純計算
以上の3つの計算方法で大体の値を求めることができます。
冷房の設定温度を1度上げるごとに10%の節電になることや、再熱除湿は冷房よりも電気代がかかってしまうことにも気をつけて、上手に電気代を節約しましょう。