天皇陛下が生前退位の意向を示されているというニュースが報じられました。
驚かれた方も多いかと思います。
そこで特に気になるのは、天皇陛下が生前退位なされたら、平成の元号も変わるのだろうかという疑問ではないでしょうか。
他にも、そもそも天皇陛下の生前退位は可能なのか、天皇陛下が生前退位なされたら呼び方・尊称はどうなるのだろうかと、色々気になりますよね。
今回は、それらの疑問を取り上げました。
果たして、今上天皇陛下は上皇になられるのでしょうか?
天皇陛下が生前退位なされたら元号も変わるの?
天皇陛下が生前退位なされた場合、平成という元号はどうなるのか、これが特に気になる問題ですよね。
元号については、元号法で『皇位継承があった場合に限り改める』と定められているので、生前退位が実現しても元号が変わることになりそうです。
天皇陛下の生前退位は長らくなかったことですし、今それを実現するためには法整備等の準備が必要ですから、今すぐ平成が終わるというわけではありません。
ですが、実際に陛下が退位なされるのなら、数年以内に元号が変わることになりそうですね。
ちなみに、最後の生前退位は、江戸時代後期の119代、光格天皇(1771年~1840年)にまでさかのぼります。
天皇陛下は退位できるの?法的に可能?
そもそも、天皇陛下が退位するというのは法的に可能なのでしょうか?
近代に入る以前には、天皇の生前退位というのはよくありました。
むしろ、生前退位をしなかった天皇を数えたほうが早いほどです。
初めて生前退位をしたのは飛鳥時代の女帝、皇極天皇で、その後も、持統天皇(女帝)や元明天皇(女帝)、そして、院政を行った鳥羽天皇など、数え上げたらきりがありません。
ですが、江戸時代後期の光格天皇を最後に、天皇の生前退位は行われていません。
現代の皇室典範では生前退位の規定がなく、今のままでは生前退位はできないということになりそうですね。
明治以降は、天皇の地位は終身という前提になっています。
ですから、生前退位を実現するためには、皇室典範の改正、もしくは、特別措置法の制定が必要になります。
天皇陛下が生前退位したら呼び方はどうなるの?上皇?
天皇陛下が生前退位なされたら、呼び方・尊称はどうなるのでしょうか?
歴史上、生前退位した天皇は、上皇、もしくは法皇と呼ばれていましたが、まず、上皇と法皇の違いを説明します。
上皇というのは、退位した天皇の尊称で、正式には『太上天皇』と言います。
それを略して『上皇』と言ったのですね。
法皇というのも退位した天皇の尊称ですが、こちらは出家した上皇です。
天皇が出家するには、仏教の特定の宗派に帰依する必要がありますが、現在では、皇籍を離脱しないかぎり、そのようなことはできません。
ですから、現代の天皇が法皇になることはなさそうです。
では、天皇陛下が生前退位なされたら、呼び方・尊称は『上皇』になるのでしょうか?
そもそも、今の皇室典範には生前退位の規定がありませんので、当然、上皇という地位の規定も存在しません。
お立場上は上皇ということになるのでしょうが、尊称については、皇室典範の改正も含めた、今後の法整備次第ということになりそうですね。
どちらにしても、『平成上皇』という呼ばれ方になることはないでしょう。
『元号+天皇』というのは崩御された後の諡号ですから、上皇と呼ばれることになっても、そのような尊称ではないはずです。
ちなみに、諡号(しごう)というのは、高貴な方や僧侶などに、生前の行いを称えて贈られる名前のことです。
数年後の元号が変わった新時代には、今上天皇が上皇陛下と呼ばれることになるのかもしれませんね。
まとめ
天皇陛下は今年(平成28年7月)で82歳になられ、ご公務も相当お辛いのではないかと思います。
速やかに皇室典範の改正を含めた議論を進め、生前退位を実現できるようにして欲しいところです。
生前退位が実現したら平成の元号も変わることになりそうですが、新時代になっても、天皇陛下にはいつまでもお元気でいていただきたいと思います。